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low-家
窓から差し込む自然光と、丸太の暖色が温もりをもたらすログハウス。滑り台やジャングルジム、ブランコなどさまざまなアスレチックが置かれている。小さな棚で区画されたスペースには、広めのローテーブルに折り紙やお絵描き用の画用紙、クレヨンが用意されて…
メメンジョ・モリ
胡乱うろんな頭では昼食のメニューを決めることさえ億劫になる。大学食堂にて、今日も私はカレーを選んだ。カウンターの向こうの厨房で、調理師の女性がルーを慣れた手つきでよそう。彼女から配膳の完了したトレーを受け取り、席に戻ると、すでに向かい席に座…
マレ・ソムニ
或る夜。満点の星空。肺を突き刺すほど澄み渡る空気の中、一人の女が佇んでいた。女は、巻き貝型の煙管を携え、火も点けずに呑んでいる。大胆に管から漏れ出る膜、もとい煙たち。彼らはまるで生命を伴うかのように、無邪気に女の周囲をただよう。やがて女は顔…
MAIMAI
何かが漂っているそれは陰のようだった。陰は、形になろうとしているようだった。うごめいて、よじって、まわって線がまわりをなぞる一歩手前になり、散った。何もみえなくなった。いなくなった……わけではない。しばらくして、再び何かが形をめざしてうごき…
帰巣本能
考えることがある。夢についてだ。僕たちは、心の奥底に存在する見知らぬ世界に思いを馳せるのが好きだ。夢のような世界で、夢のような相手と、夢のようなシチュエーションをシュミレートする。もし、普遍的な精神の中にある真に満ち足りた、素晴らしい世界を…
にらめっこ
夜の風に戦がれ、私は頭上の瞳を見上げた。無知な観客に対して、神性・完璧を呈すると思わせるための演出であろうか、それは周囲に白く眩しい弧を描き、私に輪郭をなぞらせることを拒んだ。私は少し眉を顰めた。知っているのだ。あれは神などではない。偽物だ…
蝸牛合格
人間を失格し、自らの生涯を閉じた私にも希望の光が注がれることになるとは。私はいつのまにか巻貝に成っていた。厭世をこじらせて私は貝になりたい、と願う前に、私は貝そのものに成り変わった。なんという僥倖。願う前に叶う夢がこの世に存在していたとは。…